ISOをベースにしたJIS規格化、省エネ等の社会ニーズに適合した高機能JIS化等が、社会生活、生産活動、製造業に重要な役割を果たしてきている。企業会員並びに団体会員との連携を深めつつ、更なる標準化テーマの発掘を含めて、建材・住宅設備分野の標準化に関する課題等について総合的に取り組んでいく。
第1回 2019年 6月19日 2019年度方針、及び事業計画について審議
第2回 2019年 11月5日予定 上期活動実績報告と今後の計画・課題について審議
第3回 2020年 2月予定 今年度実績報告と2020年度事業計画について審議
【標準企画部会】
(1) 受託事業としての標準化(JIS制定)の取組
テーマ「カーテンウォールの熱貫流率簡易計算法に関するJIS開発?継続テーマ)
2018年〜2020年度までの3年間でJIS規格作成完了まで実施することで採択された。現在作成中の詳細計算法のJISは、詳細断面が決定している場合に正確な熱貫流率を算出できるが、設計の初期段階には、断面が決まっていないため、熱貫流率を算出する事ができない。そこで、設計の初期段階に入手可能な外皮情報で計算可能な簡易計算法のJISを開発する。
カーテンウォールの熱性能を建築計画初期のデザインが決定した段階で算出することにより、強度面と熱性能のバランスを考慮した最適設計を可能にすることができ、建物の省エネ化に貢献できる。建築物のエネルギー消費性能算出時の熱性能目標値検討の根拠として活用し、建築物省エネ法でも引用できる可能性がある。(従来は、受注決定後、フレームの詳細設計が完了した後にしか熱性能を計算できなかった。)
2年目となる2019年度は、簡易計算法案を検討中で、熱性能の計算値と詳細計算値の比較検証、及びJIS骨子の作成等を推進する。最終年度、JIS規格を完成させる予定である。
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(2) JISの見直し
これまでに経済産業省からの受託事業等で建産協が作成し、管理するJISに対するメンテナンス業務を実施していく。改正の必要性の有無について調査する。現在、管理している建材JISの18件と住設JISの4件とその他JISの1件、合計23件のうち、2019年度に5年ごとの見直し調査対象となるのは、下記の8件であり、関係団体に見直し要否の確認を実施した。aからgについては特に見直しは不要との回答を得たが、hについては来年度に一般財団法人日本規格協会の公募事業に応募する予定。
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a. 窓及びドアの熱性能 - 熱貫流率の計算 - 第1部:一般(JIS A 2102-1)
b. 窓及びドアの熱性能 - 熱貫流率の計算 - 第2部:フレームの数値計算方法→(JIS A 2102-2)
c. 木材・プラスチック再生複合材の耐久性試験方法(JIS A 1456)
d. 木材・プラスチック再生複合材製品 - デッキ組立製品(JIS A 5742)
e. 収納間仕切りユニット内機器収納空間のモデュラーコーディネーション→(JIS A 0016)
f. 住宅用収納間仕切り構成材(JIS A 4414)
g. 住宅用浴室ユニットの省エネルギー性能の算出方法(JIS A 1719)
h. 木材・プラスチック再生複合材(JIS A 5741)
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(3) JISの改正
a. 窓及びドアの熱性能 - 日射熱取得率の測定 - (JIS A 1493)
2014年までに経済産業省からの受託事業で制定したJISの改正が必要となり、原案改正委員会を発足させ審議する。一般財団法人日本規格協会の公募事業として、2018年11月末に応募し、2019年4月から審議を実施している。2020年3月末にJIS改正原案を一般財団法人日本規格協会に提出する予定である。
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(JISの概要) 窓及びドアからの日射熱取得は、冬期の暖房負荷を軽減するとともに、夏期の冷房負荷を増大させる。建物の省エネルギー促進のために、断熱性能と日射熱取得性能のバランスのとれた窓及びドアの普及が必要で、その熱性能の評価法のJIS規格である。窓及びドア、並びに窓にブラインド、紙障子などの日射遮蔽物を付属する場合の日射熱取得率について、測定原理、測定項目、測定装置の構成及び試験体、測定方法等を規定している。
(改正内容) このJISをベースに、ISO 19467:2017「窓及び扉の熱性能 - 太陽シミュレータを使用する太陽熱利得係数の求め方」を作成した。このISOには、規格作成段階で各国からの要望が取入れられた。そのため、JISとISOとで整合しない部分があり、JISを改正する必要がある。ISOに取り入れられた内容を検討し、日本に適する内容をJIS規格に反映させ、改正案を作成する。
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b. テーマ「JIS S 0024 高齢者・障害者配慮設計指針 - 住宅設備機器の改正?新規テーマ)
「ISO/IECガイド71(高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針)」?014年4月改正に伴い、ガイド71と整合した国内規格のJIS Z 8071も2017年1月に改正され、対象者が「高齢者及び障害のある人々」から「日常生活に何らかの不便さを感じているより多くの人々」に拡大された。上位の指針であるJIS Z 8071が改正されたことに伴い、JIS S 0024も以下のポイントでの改正が必要となり2018年度に新規テーマとして提案した。2019年度より3ヵ年事業として改正を推進しており、まず当事者のニーズ調査を進めている。
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(a) 対象者を子供や重度の障害者等可能な範囲での多様な人々に拡大。
(b) 設計者が使いやすいように、できるだけ設計基準を明確化。
(c) 時代にそぐわない箇所を修正。
・実使用性・利便性・安全性の概念が変わったもの(自動水栓、LED等)
・通信技術等機器単体の性能が著しく向上したもの(IoT、音声操作等)
・省エネのために導入されてきたもの(HEMS、太陽光発電、蓄電池等)
・健康面で重視されてきたもの(VOC、ヒートショック等)
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【WPRC部会】
グリーン購入法特定調達品目への追加などを活用し、一層の普及促進と市場拡大を図るため、以下の項目について優先的な取組を行った。
また、将来の市場拡大策についても調査・研究を実施した。
(1) 木材・プラスチック再生複合材(WPRC)普及促進事業
a. WPRCの市場拡大のための普及広報活動
(a) グリーン購入法特定調達品目追加を機に各会員会社でPRを行ってきたが、2019年度は更なる普及拡大につなげるべくロビー活動も含め行った。(HP内容の充実、メールマガジン配信などの情報発信を継続)
(b) 8月7日、8日に開催された「経済産業省こどもデー」へ出展し、政府広報活動への協力を行った。
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b. WPRCの市場調査(環境指標WG)の継続
(a) 木材の地域認証制度など各種制度とWPRCとの関連性に関する調査
(b) WPRCに求められる情報の調査とメルマガ内容の検討
(c) WPRCの環境配慮性の再評価
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(2) WPRCに関わる標準化事業
WPRC国際標準化分科会
a. 木材・プラスチック再生複合材(WPRC)に関してISO 20819の改正と試験方法に関する国際標準化事業(受託事業)においてWPRC国際標準化分科会に参加し、支援を行った。
(a) 2018年度提案した「ISO 20819改正(DIS)提案」及び「物性試験方法NWIP提案」成立を目指したが前者については投票により承認を得たが、後者についてはエキスパート不足により不成立となった。9月の国際会議において改めてNWIP提案をする旨表明し承認を得た。あわせて改正提案についてもFDIS投票を行うことが決議された。
(b) 森林伐採規制の影響でアセアン諸国において「WPRC」に関する興味が向上していることが判明し、それを受けて7月にミャンマーを訪問し、WPRCの概要説明と意見交換を行った。
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b. 素材・試験方法・製品JISの改正等維持管理への支援を行う。
(a) JIS A 5741、JIS A 1456、JIS A 5742の改正の必要性・内容について検討する。
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(3) IoT住宅部会
2019年度より「IoT住宅研究部会」から「IoT住宅部会」と名称を変更して活動を実施する。2018年度に実施した調査研究活動成果から、普及基盤を構築する活動を主体的に行うためである。
(1) 2018年に経済産業省から受託した調査事業の成果を基に、次のテーマを中心とした活動を行う。
テーマ:「IoT住宅普及に向けた住宅設備機器連携の機能安全に関する国際標準化及び普及基盤構築?019年から3年事業計画として取り組み、NP提案を行う予定。
IoT住宅における住宅設備機器連携の機能安全規格IEC 63168ではカバーしていないエリアの安全標準の規格提案を行うもの。具体的にはIoT住宅の普及に伴い、システムが高度化・複雑化することで「システムの性能限界」や「ユーザーの誤操作・誤使用(ミスユース)」といったシステムエラー以外の安全上のリスクに対する安全ルールづくりを行う。2020年度NP提案、2021年度にWD提出を目指す。
事業活動の進捗について報告と確認する機会として国立研究開発法人産業技術総合研究所との「全体推進会議」を年度内に6回程度開催する予定。(6月6日、7月11日、9月5日(以上、実施済)、11月7日、12月12日、2月6日)
「IoT住宅部会」のもとに「SOTIF調査分科会」と「国内普及基盤構築分科会」を設置して活動を行う。
a. SOTIF調査分科会
自動車業界を中心としたSOTIF規格の進捗調査、IEC 63168の最新動向調査と認証事業の検討を中心に活動を行う。
b. 国内普及基盤構築分科会
IoT住宅版SOTIF規格案の検証、IEC 63168の国内普及基盤構築の検討を中心に活動を行う。
2019年度は、下記のとおり開催の予定である。
IoT住宅部会及びSOTIF調査分科会
2019年5月15日、6月5日、8月7日、10月2日(以上、実施済)、12月4日、2020年2月5日
国内普及基盤構築分科会
2019年7月3日、9月4日(以上、実施済)、11月6日、2020年1月8日
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(2) 国際標準規格案IEC 63168のフォロー
昨年度まで国立研究開発法人産業技術総合研究所と株式会社ミサワホーム総合研究所が共同事業を行い開発していた国際規格案IEC 63168(コネクティッドホーム環境での協調型複数システム・電気/電子安全関連系の機能安全・AAL側面)の国際標準規格化までの動向については、@に挙げた活動と密接に関連するため、引き続き最新情報の収集に努める。そのためにIEC総会やAAL国内委員会、国内での関連する会議等にも積極的に出席し、部会や分科会での情報共有を図る。
IEC SyC AALフランクフルト会議(2019年6月10日?14日)、上海会議(2019年10月21日?25日)に出席し、規格案の国際標準化に向けた議論にも参加している。

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